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理事会と評議員会の開催日の間隔について~一般・公益財団法人と社会福祉法人

公認会計士・税理士 森 智幸

1.はじめに

 6月に入ると、3月決算の一般財団法人、公益財団法人、そして社会福祉法人(社会福祉法人はすべて3月決算です)は理事会及び定時評議員会を開催されるところが多いと思います。

 そのため、最近は令和2年1月に記載した「理事会と評議員会の同日開催の可否について~社会福祉法人」へのアクセスが多くなっていますが、これは3月の予算承認を想定して書いたものなので、計算書類等の承認における理事会、評議員会の開催とは少し異なります。

 今年は新型コロナウイルス感染症の影響のため、理事会、定時評議員会も決議の省略によって行う法人が多いと思いますが、これも踏まえて、今回は計算書類等の承認時における理事会と定時評議員会の開催日の間隔について記載いたします。

 なお、本稿は私見であることにご留意ください。

2.計算書類等の承認の場合~通常開催であれば中14日以上の間隔が必要

 計算書類等の承認の場合、理事会と定時評議員会の開催日の間隔は中14日以上が必要となります。

 

 これは、一般財団法人及び公益財団法人の場合は、計算書類等を、定時評議員会の日の二週間前の日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならないとされているためです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)129条①、199条)。

 同じく、社会福祉法人の場合も計算書類等を、定時評議員会の日の二週間前の日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならないとされているためです。(社会福祉法(以下「社福法」)45条の32①)。

 この主たる事務所に備え置かなければならない計算書類等は、理事会の承認を受けたものである必要があります。理事会の承認をうけていないものはあくまで「案」であり、その法人の正式な書類ではないからです。

 そのため、計算書類等の承認を行う理事会の開催日と定時評議員会の開催日の間隔は2週間(中14日)以上あける必要があります。

 

 なお、旧ブログでも記載しましたが、「中14日」は14日後ではなく、理事会の開催日と定時評議員会の開催日の間を14日以上あけるという意味なのでご注意ください。

 従って、「中14日」だと誤りを誘発しやすいので「プラス15日以上」とおぼえておくほうがよいかと思います。

 

(例えば、令和2年6月9日に理事会を開催した場合は、同年6月24日以後でないと定時評議員会を開催することはできません)

3.評議員会が決議の省略の場合~中14日以上の間隔は必ずしも必要なし

 しかしながら、今年に限っては新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、理事会、定時評議員会も決議の省略によって行うという法人が多いかと思います。

 そこで、決議の省略による場合の理事会の開催日と定時評議員会の開催日の間隔ですが、こちらは必ずしも中14日以上を開ける必要はありません。

 

 というのは、一般財団法人及び公益財団法人の場合は、評議員会の決議の省略の場合にあっては、提案があった日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならないとされているためです(一般法129条①、199条)。

 また、社会福祉法人においても、第四十五条の九第十項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十四条第一項の場合にあつては、同項の提案があつた日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならないとされています(社福法45条の32①)。社会福祉法では、社会福祉法人の機関構成が財団法人の機関構成とほぼ同じであることから、一般法の条文の準用が多くなっていますが、ここに示されている一般法194条①というのは、一般財団法人における評議員会の決議の省略のことです。

 

 これにより、定時評議員会を決議の省略によって行う場合は、備え置きの日の開始日が定時評議員会の決議の省略に係る提案があった日となりますので、理事会の開催日と定時評議員会の開催日の間隔は中14日以上あける必要はないということになります。

 

 この点は、令和2年5月13日配信の「内閣府公益法人メールマガジン 第96号」に記載されているので、一般財団法人、公益財団法人の関係者の方はご存じの方も多いと思います。

 一方、社会福祉法人のほうは、新制度となってから約3年と短いことから、あまり知られていないかもしれません。

  

 以上、参考としていただけますと幸いです。