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別表A(1)の第二段階の作成上の留意点~公益法人

公認会計士・税理士 森 智幸

KEY POINTS

  • 前年度において第二段階で発生した剰余金については収入欄に加算する必要がある。
  • 第二段階で剰余金が発生した場合、剰余金の発生理由と解消計画を具体的に記載する必要がある。
  • 前年度において、第二段階の剰余金を翌年度以降の活動等に充てる旨を記載している場合は、その実績と具体的な資金使途を説明した書類(様式自由)を添付する。

1.はじめに

 今回は、「別表A(1)の第一段階の作成上の留意点~公益法人」に続いて、公益社団法人及び公益財団法人が作成する別表A(1)の、第二段階の作成上の留意点について説明します。

 なお、本稿は私見であることにご留意ください。 

2.第二段階の留意点

(1)収入欄の加算項目がある場合

 ①前年度以前に資産取得資金を設定したものの、目的外の取り崩しを行った場合や、②前年度の剰余金のうち、事業拡大等により解消するとした場合の剰余金相当額については、7欄の収入額に、これらの金額を加算する必要があります。

 なお、②については、A(1)表の2欄で加算されている額を控除した額となります。すなわち、前年度の剰余金のうち、第二段階で発生した剰余金が対象となります。

(2)特定費用準備資金の積立額と取崩額の記載

 10欄には特定費用準備資金について、別表C(5)で記載した当年度収支相償上の積立額及び取崩額をそれぞれ合算して記載します。

 なお、電子で作成されている場合、10欄は自動転記されます。

(3)「収入-費用」欄が黒字の場合

 13欄の「収入-費用」の欄が黒字の場合は、「第二段階における剰余金の扱い」欄に解消計画等を記載する必要があります。

(イ)発生理由の記載

 まず、第二段階において剰余金が発生した場合、その発生理由を記載する必要があります。なお、FAQによれば「第二段階において生じる剰余金には、第一段階で生じた剰余金があればその分も含まれていますので、第二段階における剰余金の処理の説明にあたり、この相当額については「当該金額については第一段階の説明のとおり」としていただくことで足ります。」とされています(FAQⅤ-2-⑤)

 従って、ここでは、第二段階で発生した剰余金のみについて記載することになります。

(ロ)解消計画の記載

 剰余金が発生した場合は、翌事業年度において解消することが原則であるため、「翌事業年度における解消が実現可能であることが分かる程度に具体的な剰余金の解消計画の内容を記載する」必要があります(FAQⅤ-2-⑥)

  

 しかしながら、発生した剰余金が翌年度における解消計画で適切に費消できないことについて特別の事情や合理的な理由がある場合、その特別の事情や理由を記載するとともに、剰余金の解消計画立案のための検討スケジュールを具体的に示す必要があります(FAQⅤ-2-⑥及び手引より)。

 

 なお、FAQⅤ-2-⑥によると、合理的な理由とは「平年度における法人の事業規模に照らし、翌事業年度だけで剰余金を解消するには困難が伴うといった事情がある場合、例えば2年をかけて段階的に事業拡大を図ることが考えられます。」とされています。

 また、「事業が恒常的に相当の黒字を産む構造になっている場合は、合理的な理由には含まれません。」とされています。

(ハ)前年実績等を説明した書類の添付

 前年度の事業報告の「第二段階における剰余金の扱い」欄において、剰余金を翌年度以降の活動等に充てる旨を記載している場合は、その実績と具体的な資金使途を説明した書類を添付する必要があります(手引より)。なお、この書類の書式は自由となっています。

3.まとめ

 財務3基準のうち、収支相償は厳しく見られる論点なので、A(1)は丁寧に作成する必要があります。また、前年実績等を説明した書類の添付が必要な場合もあり、収支相償を満たさない場合は、手数がかかる論点でもあります。

 しかしながら、実現可能な計画を策定し、月次レベルで予算実績分析を行って進捗管理をしていけば、恐れることはありません。

 以上、参考としていただけましたら幸いです。

 

執筆者:公認会計士・税理士 森 智幸

 令和元年に独立開業。株式会社や公益法人のガバナンス強化支援、公益法人コンサルティングなどを行う。

 PwCあらた有限責任監査法人リスク・デジタル・アシュアランス部門ではアドバイザリーや財務諸表監査を行う。

 これまで、上場会社の財務諸表監査・内部統制監査、アメリカ合衆国への往査、公益法人コンサルティング、J-SOX支援、内部統制構築支援、社会福祉法人監査などに携わる。執筆及びセミナーも多数。


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