公認会計士・税理士 森 智幸
1.はじめに
公益法人会計において法人税法上の収益事業を行っている場合は法人税、住民税及び事業税(以下「法人税等」)が発生します。
公益法人会計においても法人税等を計上し、表示をする必要があります。
この点については、以前当ブログ「法人税等の表示~公益法人」でも記載しましたが、令和元年(2019年)9月に追加されたFAQで明らかになっていますので、今回はその説明をいたします。
なお、本稿は私見であることにご留意ください。
2.法人税等の表示の方法
令和元年(2019年)9月にFAQⅥ-4-⑦が追加され、法人税等の表示方法が明らかになりました。
![FAQⅥ-4-⑦に基づいて作成](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=666x1024:format=jpg/path/sd51097d0b247a1a9/image/i915826d17b95d2e7/version/1683613048/faq%E2%85%B5-4-%E2%91%A6%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%84%E3%81%A6%E4%BD%9C%E6%88%90.jpg)
具体的には、「法人税、住民税及び事業税」は左図のように、「税引前当期一般正味財産増減額」の後に記載するということが明らかになっています。
また、税効果会計を適用している場合は、「法人税、住民税及び事業税」の後に「法人税等調整額」を記載します。
これにより、公益法人会計においても税引前当期一般正味財産増減額と法人税等が期間的に対応することになりました。
3.公益目的事業比率
このように、法人税等の表示方法がFAQでも明らかになっていますので、正味財産増減計算書及び正味財産増減計算書内訳表の表示においても、上記の通り、表示しなければなりません。なお、令和元年(2019年)9月の追加なので、令和元年(2019年)9月以後に事業年度が終了する公益法人はこのように表示されている必要があります。
法人税等を収益事業等会計の事業費において「租税公課」で処理されている法人が見られますが、本来、法人税等で処理すべきところを租税公課で処理すると、収益事業等会計の事業費が大きくなるため、公益目的事業比率が誤った数値となってしまいます。
従って、法人税等の表示は財務3基準にも影響を与えるため、適正に処理する必要があります。