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ユニクロのセルフレジ~RFIDの導入

公認会計士・税理士 森 智幸

1.久しぶりにユニクロへ

 7月は梅雨が長く続いていましたが、8月に入りやっと夏らしくなってきました。

 しかしながら、天気予報では「危険な暑さ」と言われているぐらい極めて暑い夏となっています。一方で、京都市内でも新型コロナウイルス感染症の拡大が続いており、危険な状況が続いています。

 私も、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、会食や店での買い物は行わないようにしています。しかし、今回、理由があってユニクロで買い物をしてきました。

 ただし、三密を避けるため、平日の昼に、事務所近くのユニクロ五条丹波口店に行ってきました。

2.一瞬で精算が終了

ユニクロ五条丹波口店
ユニクロ五条丹波口店

 ユニクロ五条丹波口店でポロシャツを選んで、レジに持って行きましたが、レジらしきものが見当たりません。

 足元マークのところで待っていると、男性店員から「お待ちの方、こちらへどうぞ」と言われました。

 

 そこで、前に進んでみましたが、やはり、従来型のレジは見当たらず、どうしたものかと思っていたら、「こちらに商品をおいてください。」と言われたので、くぼんだ箇所に置いてみました。

 

 が、何をすればよいのかわからず戸惑っていると、男性店員から「セルフレジは始めてでしょうか?」と言われたので「はい、そうです。」と答えました。すると、男性店員が端末のボタンを押してくれました。

 

 その瞬間、あっという間に、セルフレジの端末に商品名と金額が表示されました。これは驚きました。本当に「一瞬」です。 

3.RFIDとは?

 一体何なんだろうと、Webで調べてみると、セルフレジと商品には「RFID」というシステムが使用されているということがわかりました。

 

 株式会社デンソーウェーブ様のページによると、電波を用いてデータの読み書きを非接触で行うことができるシステムだそうで、複数のタグを一気に読み取ることができるのだそうです。

 

 この株式会社デンソーウェーブ様のページの下の方には「RFIDで棚卸時間1/10」というデモ動画がありますので、ぜひご覧ください。この動画では50枚のシャツを一瞬にしてカウントしている場面が映し出されています。

 

 このRFIDを使えば、実地棚卸も大幅に時間が短縮できるということです。

4.セルフレジのメリット

 そこで、このRFIDを使ったセルフレジを設置した場合のメリットをあげてみました。

 RFIDも導入しやすい価格になってきているようなので、今後、様々な小売店に普及してくのではないかと予想されます。

(1)人件費の削減

 なんと言っても人件費の削減につながります。

 現状では、それなりの規模の小売店であれば、複数のレジを設置し、混雑時には複数のレジをフル稼働して対応しています。複数のレジを稼働させるとなると、少なくともそのレジの台数分の店員が必要となります。

 しかし、セルフレジであれば、管理する店員が1名いればよいので、レジ担当の店員は不要となります。従って、人件費の削減につながります。

(2)待ち時間の短縮

 現状では、バーコードで商品を個別に読み込んでいますが、RFIDを使用すれば、複数の商品を同時に読み込むことができるので、金額確定までの時間が大幅に短縮されます。

 従って、現状よりも並んでいるときの待ち時間は短縮されるものと予想されます。

(3)新型コロナウイルス感染症拡大の防止

 セルフレジであれば、店員と客が対面することがないので、双方にとって新型コロナウイルス感染症に感染するリスクが大幅に低減されます。

 RFIDは新型コロナ対策で生まれたものではありませんが、このような副次的な効果も期待されます。

(4)人手不足への対応

 (1)とは矛盾するようですが、セルフレジは、逆に人手不足にも対応できると考えられます。

 そもそも、新型コロナウイルス感染症が発生する前は、我が国では人手不足が問題となっていました。そのため、ワクチンが開発され、新型コロナウイルス感染症のリスクが小さくなれば、経済は急速に回復し、再び人手不足問題が発生する可能性があります。

 現状のレジは、少なくとも稼働するレジの台数分の人が必要ですが、人手不足になると人が十分に確保できず、レジもフル稼働できない可能性もあります。

 しかし、セルフレジであれば、管理する人が1名いればよいので、人手不足にも対応できます。 

5.RFIDと財務諸表監査~AIが導入されると・・・

 さらに、RFIDの普及が財務諸表監査にどのような影響を与えるのかという点について気になったので、Webで調べていたら、PwCによる「監査の変革ーどのようにAIが会計監査を変えるのか」というレポートをみつけました(2018年発行)。

 これは、AIの導入による財務諸表監査への影響について記載されたものですが、この中にRFIDも出てきます。

 

 このレポートによると、在庫管理に関しては「物流サイクルもIoTデバイスによるセンサーのデータを用いて、大幅な自動化が見込まれる。入出庫チェックがRFIDなどで自動化され、業種によってはリアルタイムで倉庫内の在庫数を測定できるようになるだろう。」(同レポートより引用)と記載されています。

 

 つまり、棚卸の段階でRFIDが登場するのではなく、入出庫段階でRFIDによる自動管理が行われることにより、入出庫数を把握できることから、いつの時点においても在庫を常に把握できるということだそうです。

 

 そして、それに対する監査人への影響については「経理業務がAIによって自動化されれば、監査人は監査用AIを使って、被監査会社のAIを監査することになる。従来のサンプルベースの監査手続はなくなり、監査用AIが全てのビジネスプロセスを被監査会社のAIから読み取る。」(同レポートより引用)と記載されています。

 

 立会のテストカウントはサンプルベースですが、このような監査手続も将来はなくなるのでしょうか。

 

 テクノロジーの進化は日進月歩なので、会計も監査もどのような方向に向かっているのかを常に把握することが重要といえます。

【参考】ユニクロ五条丹波口店

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